井上靖の小説「小磐梯」は不穏な空気に満ちている。舞台は磐梯山周辺にある村だ。耕作地の測量調査のため出張していた役人らが奇妙な物事をたびたび見聞きする。おびただしいヒキガエルの群れ、温泉の湯量の減少、そして頻発する地震や山鳴り ▼悪いことの前兆ではないかという村人らの予感は的中する。磐梯山の噴火だ。小説は1888年7月15日に起きた史実をモチーフにした。自然の脅威を前にした人々の恐怖が生々しく...
この記事は会員専用記事です
残り309文字(全文509文字)
続きを読むには「みんゆうプラス」の会員登録もしくは
「福島民友新聞購読」の申し込みが必要です。