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【8月12日付編集日記】会津西街道

08/12 08:00

 異邦の女性探検家にとって見るもの全てが新鮮だったようだ。英国人のイザベラ・バードが「未踏の地」と記した東日本に向け、日光を北進したのは1878年6月のこと。荷馬を乗り継いで、会津に入る

 ▼立ち寄った村では文化の違いに戸惑いながらも、住民の勤勉な人柄に感心し、子どもを大切にする大人の様子に癒やされた。大内宿に泊まった際には「この村は周りを山々で美しく囲まれた谷間にある」と感動をつづった。旅行記「日本奥地紀行」は後に英国でベストセラーとなった

 ▼広域的な観光振興に向け会津若松市、会津美里、下郷両町の団体が連絡協議会を設立した。連携の軸となるのは、かつてバードが旅し、文化庁の「歴史の道百選」に認定されている会津西街道だ

 ▼3市町には往時と変わらぬ豊かな自然や鶴ケ城、向羽黒山城跡、大内宿など数多くの名所旧跡がある。誇り高くも温かい会津の人々の人情は、連綿と受け継がれてきた無形の観光資源と言える

 ▼交流サイト(SNS)で発信される旅行の一こまが、訪日客の行動に大きな影響を与える現代。アイデアと努力次第で誘客の可能性は十分に広がる。異邦人の心を動かすことが、会津へといざなう第一歩となる。

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