• X
  • facebook
  • line

【8月14日付編集日記】昭和の記憶

08/14 08:00

 64年で幕を閉じた昭和が続いたとすると、来年は昭和100年ということになる。一つの節目でもあろう。戦争で焦土と化した国土を懸命に復興させ、高度成長を達成した歩みを振り返り、顧みようとする動きが出ているのもうなずける

 ▼戦後間もない頃から平成、令和と約70年間親しまれてきた福島市中心部の「模型の新光堂」が、その看板を下ろした。決して広いとは言えない店内は商品が天井近くまで積み上げられ、新光堂に行けば探している商品がきっとある―と思わせる品ぞろえが売りだった

 ▼店をたたむ日も長い行列ができ、しばらく途切れなかった。孫と並んでいた男性は、自身が子どもの頃、親に連れられてきた記憶があるというから4代にわたり通ったことになる。学生時代を懐かしみ、手土産を手に県外から駆けつけた人もいた

 ▼店内は、昭和にタイムスリップした雰囲気。探し当てたプラモデルをいくつも抱えレジに並ぶ大人たちの顔は子どものように輝きつつ、どこか寂しげに見えた

 ▼新光堂が最初に開業した通りを歩いてみた。喫茶店や玩具店など、閉めた店も多い。昭和の記憶が薄れていくのは避けられないにしても、いつまでも人の集まる街であってほしい。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line