この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることも無しと思へば―。藤原道長が約千年前に栄華を極めたさまを詠んだとされるこの歌の面白いところは、道長自身の日記などには書かれておらず、彼に批判的だった藤原実資の記録にだけ書き残されていることだ ▼実資の記録によると、道長は即興で詠んだのだと断ってから、この歌を披露した。自らの権勢を誇るような歌を前々から温めていたと思われたくなかったのだろう。その場に居合わせ...
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