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スポーツ事故防ぐ力に…両親決意 須賀川一中柔道部事故、まな娘死去7年

2025/09/16 08:10

「9月は娘の命日と誕生日がある特別な月」と手を合わせる政恭さん(右)と晴美さん
事故前の12歳の車谷侑子さん

 須賀川市の須賀川一中で2003年10月、柔道部の練習中に起きた事故で重傷を負い、後遺症のため自宅療養していた車谷(くるまたに)侑子さん=事故当時1年、享年(27)=が亡くなってから12日で7年となった。「スポーツ事故を減らしたり、介護する家族の心身の負担を軽くしたりする一助になれば」。そんな強い思いを原動力に、両親はスポーツ事故防止を目的とした勉強会に参加するなど、活動の場を広げている。

 父政恭さん(69)と母晴美さん(62)は昨年夏の七回忌法要以降、オンラインでの勉強会やシンポジウムに参加。スポーツ事故当事者や研究者のほか、遺族らでつくる活動団体などとの交流を深めている。

 7月中旬には、「全国柔道事故被害者の会」の倉田久子代表(64)=名古屋市=と共に、県や須賀川、会津若松、福島の3市の教育委員会を訪問。学校での事故を防止する医療的ケアや事故後の対応の在り方などを求めた。倉田さんとはオンラインでの親交はあったが、この時が初対面だった。倉田さんも高校の柔道部で練習中だった息子を亡くしており、全国各地の教育委員会などを訪ねている。3人に共通するのは「自分たちの経験を、子どもの犠牲を誰かのために発信しなければならない」との思いだ。

 夫妻は6月、東京都で開かれた日本弁護士連合会主催の「スポーツ事故補償」をテーマとしたシンポジウムに登壇した。関東の体育大からは「体験談を話してほしい」との依頼もあるいう。「他の地域の先進的な取り組みが行われている現場などに足を運んで学び、私たちに出来ることを模索したい」。痛ましい事故を防ぎ、自分たちの経験を風化させないため、夫妻はまな娘の命日に決意を新たにした。

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