福島県が16日発表した7月1日現在の県内地価(基準地価)は、林地を除く全用途の平均変動率がマイナス0.2%となり、6年連続の下落となった。都市部などの130地点では地価が上昇、91地点で横ばいとなったが、郡部集落などの288地点で下落した。利便性が高く需要が高い一部の都市部では価格が上昇する一方、人口減少が続く多くの郡部集落では下落が続き、価格差が広がっている。
下落地点数が上昇地点数を上回るのは7年連続。全用途の平均変動率は全国30位で前年より順位を七つ下げた。1平方メートル当たりの平均価格は2万8300円で、前年と同じ全国41位だった。用途別の平均変動率を見ると、住宅地がマイナス0.4%、宅地見込地がマイナス2.0で、いずれも6年連続の下落となった。商業地は0.7%、工業地は0.3%でともに3年連続で上昇した。
各地点の変動率を見ると、住宅地では、利便性が高く人気がある一方、供給が少なく需要が高まる郡山市桑野が8.5%で最も上昇。2019年の台風による被害が大きかった郡山市十貫河原がマイナス5.3%で最も下落した。
商業地では、新型コロナウイルス感染症の流行後に新規出店が続き需要が高まっている郡山市朝日が12.1%で最も上昇した。集客施設が少ない南会津町山口はマイナス4.6%で最も下落した。
工業地では、郡山インターチェンジ(IC)や国道49号など交通の利便性が高い郡山市富田町が2.0%で最も上昇した。他の工業地より利便性が低いとされる会津若松市神指町がマイナス3.5%で、全国の工業地でもワースト3位だった。
県は、東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域などになっている双葉町と、富岡、大熊、浪江の3町の一部を除く529地点で調査した。大熊町の住宅地1地点で調査を再開した。