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全国醤油品評会、相馬・山形屋商店が4連覇 最高賞8度目、最多タイに

2025/10/02 10:00

受賞銘柄を手に「県内の蔵元と品質を高め合ってきた結果」と喜ぶ渡辺さん
「お客さまに寄り添った商品を造り続ける」と話す林社長
「今後のしょうゆ造りの励みになる」と喜ぶ紅林工場長
根田醤油の「蔵出し別撰しょうゆ」
山形屋商店の「ヤマブンうすくち醤油」

 日本醤油(しょうゆ)協会は1日、国内唯一のしょうゆの全国品評会「第52回全国醤油品評会」の結果を発表した。福島県からは山形屋商店(相馬市)の「ヤマブン本醸造特選醤油」が最高賞の農林水産大臣賞に輝いた。同社の最高賞受賞は史上初となる4年連続で、全国最多タイ記録を更新する8度目。このほか、農水省大臣官房長賞に2点、優秀賞に2点が選ばれた。

 農水省大臣官房長賞を受賞したのは、林(会津若松市)の「イゲタ特級しょうゆ」、県醤油醸造協同組合(二本松市)の「香味しょうゆ」。優秀賞は根田醤油(白河市)の「蔵出し別撰しょうゆ」、山形屋商店の「ヤマブンうすくち醤油」だった。

 都道府県別の入賞数で本県の5点は千葉の9点、宮城の6点に次ぎ、山形と並んで3番目に多かった。本県は昨年に11点、2023年に10点が入賞し、2年連続入賞数「日本一」だったが、今回はトップを逃した。

 品評会には全国154工場から303点(このうち本県は16工場から37点)が出品された。味覚や見た目、色、香りなどを審査し、農水大臣賞5点、農水省大臣官房長賞10点、優秀賞38点を決めた。

 4日からフェア

 10月1日の「しょうゆの日」に合わせ、県味噌(みそ)醤油工業協同組合は4~13日、福島市の県観光物産館で「ふくしまの醤油フェア2025」を開く。全国醤油品評会の受賞銘柄や県内のしょうゆなどを取りそろえる。

 時間は午前9時半~午後7時。問い合わせは県味噌醤油工業協同組合(電話0243・22・3121)へ。

 「切磋琢磨の結果」

 山形屋商店(相馬市)は、全国最多タイ記録を更新する8度目の農林水産大臣賞に輝いた。4年連続の最高賞受賞は史上初の快挙。代表社員の渡辺和夫さん(55)は「大変光栄に思う。県内の蔵元と切磋琢磨(せっさたくま)してきた結果」と喜ぶ。

 2年連続6度目の最高賞のヤマブン本醸造特選醤油は、素材に味と香りを加える濃い口しょうゆ。後味が良く、煮物や焼き物、すしなどのおいしさを高める。

 東日本大震災後、県内の蔵元は風評払拭に向け品質を高め合ってきた。「火入れ作業に注力できるのも(醤油の元になる)生揚(きあげ)があってこそ」と渡辺さん。一括生産する県醤油醸造協同組合の役割の大きさを強調する。

 今回、本県は3年連続入賞数日本一を逃した。「来年は必ず奪還する。醸造王国のレベルの高さを改めて証明する」と力を込めた。

 顧客に寄り添う商品

 林(会津若松市)は4年ぶりに農水省大臣官房長賞に輝いた。イゲタ特級しょうゆは風味豊かでこく深い味わいが特徴で、香りと濃い色味が出るよう火入れの時間や温度を工夫した。林寛社長(57)は「良いしょうゆができた。先人がつないできた伝統を守り、今後もお客さまに寄り添った商品を造り続ける」と力を込めた。

 頑張りが認められた

 県醤油醸造協同組合(二本松市)は、香味しょうゆが農水省大臣官房長賞を受けた。昨年の県醤協こいくちに続き3年連続の受賞。香味しょうゆは、すっきりとした香りとまろやかな塩味が特徴だ。紅林孝幸工場長理事(54)は「従業員の頑張りが認められた。今後の励みになる。皆で喜びを分かち合いたい」と語った。

 2蔵元、連続の入賞

 優秀賞を受けた2点のうち、蔵出し別撰しょうゆを出品した根田醤油(白河市)の鈴木利彦代表社員(80)は「2年連続の入賞はうれしい。まろやかな味わいと芳醇(ほうじゅん)な香りが立つように仕上げた。独自の味を追い求めたい」と手応えを語った。

 山形屋商店のヤマブンうすくち醤油は4年連続で入賞し、渡辺和夫代表社員は「手間を惜しまず、一つ一つ丁寧に造っている。濃い口とはまた違った風味を楽しんでほしい」と話した。

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