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中国と韓国、福島県産品「不安」9割 東大とエフレイ調査

2025/10/29 07:25

 東京電力福島第1原発からの処理水海洋放出後に東京大と福島国際研究教育機構(エフレイ)が行った国際比較調査で、中国と韓国の約9割の人が県産食品の安全性に不安を感じている現状が明らかになった。調査を行った東京大大学院情報学環の関谷直也総合防災情報研究センター長は「中国、韓国ではいまだ県産食品への不安感が大きい」とし、国などによる情報発信の不十分さを指摘している。

 調査はエフレイの委託研究として昨年6~7月、20カ国の都市部で生活する各300人を対象にインターネットを通じたモニター調査として実施した。県産食品について中国は50.0%、韓国は52.7%が「とても危険」と回答。「やや危険」を含めると約9割が本県産食品の安全性に不安を抱えていた。日本を含むほかの18カ国は「とても危険」との回答が6.7~41.0%だった。

 また、処理水の海洋放出や処理水に含まれる放射性物質トリチウムの基礎知識を尋ねたところ、ほかの国と大きな差はなかった。関谷センター長は「事故直後の情報発信不足による誤解が現在の不安につながっているのではないか。今後は(復興が進む)福島の現状を発信し、誤解を解いていく必要がある」としている。

 また、関谷センター長が今年実施した県産食品に関する全国調査で、県産食品を「積極的に避けている」と回答した県外の人の割合は8.5%で、前回(2023年)の9.7%を下回った。

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