【ブリュッセル共同】欧州連合(EU)欧州委員会は19日、加盟国に求める財政規律に対してフランスやイタリアなど7カ国の赤字が過大であるとして、赤字を減らす必要があると発表した。赤字削減の手続き開始を欧州理事会(首脳会議)に提案する。EU各国では、新型コロナウイルス流行への対応で財政支出が増え、財政規律の適用が一時停止されていた。
EUは、新型コロナの収束を受けて財政規律を維持しつつ、デジタルや環境といった分野に効率的に資金を投じて生産性や競争力を高めたい考えだ。
ただ、フランスは今月末に国民議会(下院)選の第1回投票を控え、財政拡張をためらわない極右政党の優勢が伝えられる。イタリアのメローニ政権も家計支援に前向きとされ、赤字削減が進むかどうか見通せない。
EUの財政規律は、国内総生産(GDP)比の単年度の財政赤字と政府債務残高をそれぞれ3%以内、60%以内に抑えるよう求めている。
赤字が過大だと指摘されたのは、フランスとイタリアのほかにベルギー、ハンガリー、マルタ、ポーランド、スロバキア。