札幌市中心部の大通公園に面し、市民に身近な存在だった道新ホール(客席数700)が30日、61年の歴史に幕を閉じた。「トリ」を担った落語家の立川談春さんは、いちずな若者の恋心をうたい上げる人情話「紺屋高尾」を披露し、満員の観客たちの泣き笑いとともに有終の美を飾った。
演目を終えた談春さんは「こういう形でホールとお別れする感慨はひとしおでしょう」と言って、裏方さんたちをステージに呼び込むと、三本締め。緞帳が下り、明るくなったホールで「全ての公演が終了しました」とのアナウンスが流れると、席を立った観客たちから大きな拍手が上がった。
道新ホールは北海道新聞社が1963年に本社ビル(現在の大通館)の8、9階に開設。これまで約1万2千回もの公演で使用され、音楽アーティストや地元劇団は、ここでの公演を成功させることが目標となっており、登竜門のような存在だった。