林芳正官房長官は10日の記者会見で、在沖縄米兵による性的暴行事件を巡り「現地米軍から沖縄防衛局への通報はなかった」と明らかにした。日米両政府は1997年、米軍司令官は事件を把握した場合、沖縄防衛局に連絡するとの通報手続きを定めているが、形骸化している実態が浮き彫りになった。
事件を巡っては、外務省が日本の捜査当局から情報提供を受けていたにもかかわらず、沖縄県や防衛省に伝えていなかった。今回、当事者である米側から地元の沖縄防衛局に通報がなかったことが新たに判明し、野党や地元の反発が強まるのは必至だ。
林氏は会見で、事件を巡って日本側の情報共有に不備があったことを踏まえ、米軍人による性犯罪事件は捜査当局が非公表とした場合でも例外なく沖縄県に伝達することに改めたと強調。事件について「日米間で適切にやりとりを行っている」と述べた。
参院外交防衛委員会は10日、理事懇談会を開き、事件の経緯を聴取。政府は米軍から沖縄防衛局への通報はなかったとした上で、米側に抗議していないと説明した。