高知大の研究グループは19日、長崎県・対馬で野生カワウソの生息を約5年ぶりに確認したと発表した。採取したふんからユーラシアカワウソのDNAを検出。韓国南東部に生息する個体群に近い遺伝的特徴を持つとみられ、野生の個体が対馬で繁殖している可能性にも言及している。
宇田幸司准教授(比較生化学)らのグループは、昨年2月に対馬でカワウソのものとみられるふんを発見。DNA解析の結果、環境省が17~18年に対馬で調査した際に確認された個体群と同様の系統と考えられるとした。18年以降、痕跡は見つかっていなかった。
今回の発見を踏まえた生息状況の可能性として(1)17~18年に確認された個体が24年まで生存(2)これまでのものとは別個体が韓国から海を渡った(3)野生カワウソが対馬で繁殖し、新たな個体が生まれた―の三つを挙げた。
宇田准教授は、野生カワウソの平均寿命が5年程度だとして、韓国由来とされるカワウソが海を渡った後、対馬で継続的に生息地を形成していた可能性も指摘。「今後さらなる調査が望まれる」と話している。