札幌地検は1日、北海道北広島市の自立支援施設で2022年、男女2人が焼死した放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた元入居者の荻野正美被告(70)を無罪とした札幌地裁判決を不服とし、札幌高裁に控訴した。
事件は裁判員裁判で審理され、被告の刑事責任能力が争点となった。検察側は「違法な行為と理解し、立ち止まることもできたのに放火した」として懲役30年を求刑。一方、弁護側は被告が当時、心神喪失状態だったとして無罪を主張した。
地裁は9月17日の判決で「善悪の識別に従って行動をコントロールできる能力が失われていた疑いが残る」として心神喪失だったと認定し、無罪を言い渡した。