• X
  • facebook
  • line

【6月13日付編集日記】視点を変える

06/13 08:15

 福島市在住の作家佐藤巌太郎さんは、戦国時代などを舞台にした歴史小説を得意とする。だが、意外にも、主人公の武将らが有名であるほど「書きづらい」とこぼしていた

 ▼例えば信長、秀吉、家康。東北地方なら、ルーツが県北にある伊達政宗。彼らのことは、すでに著名な作家たちが小説を書き、映画やドラマにもなっている。どんな人生を歩んだのか知れ渡っているため、新作の小説に必要な新味を出すのは難しいという

 ▼しかし巌太郎さんによると、有名人を中心とした物語の場合でも「うまくやる手だて」はある。これは大河ドラマでもたまに見る手法で、主人公を家康や政宗でなく、その側近や肉親に代え、視点を変えるのだ

 ▼この視点の変化というのは、マンネリや行き詰まりの打開策としていろいろ応用できそうだ。家庭なら妻と夫の役割分担を変えてみる。就職や進学で悩んだら一度、別の可能性を想定するのも手だろう

 ▼ただ、政治の世界は、そう単純ではない。石川町では、官製談合事件による前町長の逮捕により、町長選が行われるが、18年前にも贈収賄事件で町長が代わった経緯がある。人心一新とは難しい。新町長には、その労を惜しまない人に就いてほしい。 

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line