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【守り紡ぐ・県警発足70年】県警トップ、安全・安心守る決意語る

07/01 08:15

松本光弘氏(写真左)若田英氏(写真右)

 1日で県警発足から70年となった。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故発災時に本部長を務めた松本光弘元警察庁長官、昨年7月から県警トップとなった若田英本部長は福島民友新聞社の取材に応じ、これまでの歩みを振り返るとともに、今後も県民の安全・安心を守る決意を語った。

 震災、勇気奮い起こし職責 松本光弘元警察庁長官

 ―東日本大震災発生時を振り返って。
 「震災では、マニュアルや訓練の想定をはるかに超える、日本警察として経験のない事態が続発した。そうした中、県警の職員一人一人が『逃げるわけにはいかない』との覚悟で、自らの危険を顧みず、また家族よりも職務を優先させて、人々を助け、守り、支えるために、勇気を奮い起こしながら職責を果たした。そうした思いを、自分も共有していたつもりだ」

 ―県警への思いは。
 「高齢化や過疎化など社会構造の変化が大きく進みつつある中、県警はサイバー空間での犯罪など、複雑化し、対応の困難さが増しているさまざまな治安課題に取り組んでいる。職員一人一人の力を結集して、柔軟な発想で、前に進んでほしい。若田本部長、早藤貴之警務部長とは、現職当時に同じ部署で苦楽を共にしていた。信頼する2人が県警発足70年のタイミングで現ポストにいてくれることはうれしく、頼もしい限りだ」

 今後も福島の応援団

 ―本県への思いは。
 「復興が着実に進み、新しい産業や学術の芽も芽生えつつあるのは心強い限り。課題も数多くあるが、希望を捨てない限り必ず克服でき、発展していけると信じている。福島を愛する元県民として、さまざまな機会で福島の話題に触れたり、福島産の物品を見つければ優先して購入したりしている。微力ながら今後も応援団の一員でありたい」

 変化する治安、的確に対応 若田英県警本部長

 ―県警発足から70年を迎えた。
 「県警の先人、先輩の懸命な活動に加え、県民、関係機関・団体の理解と協力の積み重ねが礎となり今がある。その中で、複雑化する社会を背景に変化する治安情勢に的確に対応しなければならないと考えている」

 ―県内の現状について。
 「県内の昨年の刑法犯認知件数は約8千件と、2002年のピーク時に比べて約4分の1、交通事故発生件数も昨年は約3千件と01年のピーク時に比べて約5分の1となった。社会環境の変化、県民の理解、警察の取り締まりなどで数値としては大きく改善している。しかし、人流の回復も要因の一つと思うが、刑法犯認知件数、交通事故死者数などが増加に転じており、憂慮すべき状況だ」

 ―近年は県警の枠を超えた犯罪が顕著になっている。
 「交流サイト(SNS)を利用した投資詐欺やロマンス詐欺の被害が急増しているほか、SNSなど緩やかな結び付きで離合集散を繰り返す『匿名・流動型犯罪グループ』による強盗など凶悪事犯が発生している。いずれも県内で完結している事案ではないため、全国の警察と緊密に連携して捜査、摘発していく」

 県民に安全・安心実感

 ―今後への決意を。
 「変化に対応できる柔軟性を高め、県民に『安全・安心なふるさと福島』を実感してもらえるように組織一丸となって取り組んでいく」

          ◇

 まつもと・みつひろ 神奈川県出身。1983年警察庁入庁。東日本大震災発生当時の本県警本部長で、人命救助や復興に尽力。警察庁では警備局長、次長などを歴任し2020年1月から21年9月まで長官を務めた。63歳。

 わかた・たけし 東京都出身。1994年に警察庁入庁。公安課長、警備企画課長、長官官房総務課長などを歴任し、2023年7月から本県警本部長。仕事のモットーは「人事を尽くして天命を待つ」。52歳。

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