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リフォーム詐欺、被災地狙うトクリュウ 不安あおり、法外修理費

07/12 10:20

男らが施工したとみられる南相馬市の別の男性方の屋根。男性は50万円を支払ったが、正規の業者に見てもらうと「どんなにもらっても修理代は2万~3万円」と言われたという(県警提供)

 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の被災地が「匿名・流動型犯罪グループ(通称トクリュウ)」によるリフォーム詐欺の標的になった。詐欺未遂の疑いで11日、相馬署などに逮捕された埼玉県新座市、アップルホーム社長の男(23)はトクリュウのリーダーで、相双地方を中心に同様の詐欺を繰り返していたとみられる。住民らは「とんでもないことだ」と怒りをあらわにする。

 「このままだと屋根が壊れますよ」。5月17日、南相馬市原町区の60代男性方を突然訪れた作業服姿の男は言った。男性は男と共に屋根に上ったが、壊れそうな様子はなかった。しかし、男は「雨漏りして壊れますよ」と屋根の一部を持ち上げて見せた。

 不審に思った男性は修理を拒んだ。その後、隣や2軒隣の住宅にも同日、男が訪問し、同じ話をされたことが発覚。男性らは南相馬署に連絡した。男は同社社長の男だったとみられる。

 男性は「第一声で不安にさせ、次に『見てあげましょうか』と言葉巧みに誘う。親切を思わせるので、お年寄りは弱い」と推し量る。

 捜査関係者によると、男らに屋根の修理代を支払ってしまったケースもあり、50万円を払った南相馬市の男性方の屋根は、正規の業者に見てもらったところ「修理代は高くても2万~3万円」と言われた。ほかにも「点検」と称する作業の際に、屋根のくぎを抜かれたとみられる案件があったという。

 ある捜査関係者は「震災の被災者は家を新たに建てたり、直したりしたのに、(男らが)不要な手を加えたことで、さらに修理が必要になった家もある。二重、三重の被害を与えた」と語気を強める。

 登記簿によると、男は昨年12月にアップルホームを設立。相馬署などは男が詐欺を行うために会社を設立し、仲間を募ったとみて調べている。

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