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【ふくしま乗り物語】ウニモグ 熱いレース、陰で守る

07/29 08:25

レースの合間にダートコースを力強い走りで整地するウニモグ=6月29日、JRA福島競馬場(永山能久撮影) 【撮影情報】カメラ・ニコンD6、レンズ・ニコン80―400ミリ、  絞り値・f/20、シャッター速度・1/1000秒、ISO・オート
ダートコースを走る競走馬

 福島市のJRA福島競馬場で繰り広げられた夏の福島競馬。競走馬による白熱のレースを陰で支えたのがダート(砂)コースを整備する多目的作業車「ウニモグ」だ。メルセデス・ベンツのエンブレムを輝かせ、装甲車を思わせる重厚な外観の作業車は、福島競馬場などJRAの各競馬場に3台ずつ配備されている。福島競馬の開催中、他の競馬場から借りた1台を含め計4台が稼働した。

 福島競馬場のダートコースは1周1444・6メートル、幅員20~25メートル。山砂による路盤の上に厚さ9センチのクッション砂が敷き詰められている。レース後は馬の足跡が残り、開催が進むにつれて砂の粒が壊れ粉っぽくなっていく。ウニモグの出番はレースの前や合間。重さ500~600キロの「ハロー」と呼ばれる砂をならすための装置をけん引しながら、4台が隊列を組み、約6分半でコースを1周する。

 福島競馬場の施設整備課で、馬場造園を担当する田村陽輔課長(40)は「ハローをけん引する馬力と、コースを速やかに走るスピードを兼ね備えるウニモグがダート整備用の車両として最適」と説明する。

 ウニモグの操作には高い運転技術を要する。競馬場から委託を受ける八巻興業(福島市)の遠藤広幸さん(41)は「真っすぐ、隙間なくコースをならすのは大変な作業。開催に備え、日頃から練習を積んでいる」と明かす。コースを整備中の車は激しく揺れ、慣れない人では真っすぐ走ることすら難しい。雨の後など、馬場状態に合わせた走行も求められる。

 ウニモグの車内を見ると、窓は大きくて見通しがよく、衝撃を吸収する装置を備えるなど「さすが高級車」と思わせるありさま。田村課長は「少しでも不備があれば事故につながる。安全なレースが行われるよう、最大限努力するのが仕事であり使命」と力を込める。次の福島競馬の開催は11月。ウニモグが疾走する姿を見るのも、競馬場を訪れる楽しみの一つになる。(小暮親史)

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