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林業自動化の研究開発、エフレイ着手 浜通り・阿武隈山系

08/06 09:10

浜通り

 福島国際研究教育機構(エフレイ)は本年度から、浜通りの阿武隈山系で林業自動化の研究開発に着手する。ロボットが森林に入って伐採から運搬までを担うシステムの構築を目指し、必要な技術や実証事業について研究機関や民間企業などから広くアイデアを公募する。5日、双葉町で開いた第3回新産業創出等研究開発協議会で明らかにした。

 阿武隈山系の森林を巡っては、東京電力福島第1原発事故による住民避難で手入れができない時期があったことに加え、林業者の高齢化や担い手不足などが進み、森林整備をどのように実現していくかが課題となっている。ロボットの導入による全自動化を通じて、木材の有効な利活用に結び付けていきたい考えだ。

 また、阿武隈山系にはいまだに帰還困難区域となっている地区が残り、その多くは森林に囲まれた環境になっている。林業の自動化で得られるロボット技術は帰還困難区域の森林での活用も視野に入れており、これらの地区の再生や環境回復につながることも期待される。

 協議会では、阿武隈山系に位置する自治体の首長から技術開発への期待感が示された。エフレイの山崎光悦理事長は「日本ならではの技術をわれわれがイニシアチブ(主導権)を取って開発していきたい」と述べた。

 チーム全体像26年度にも

 エフレイは5日の新産業創出等研究開発協議会で、2029年度までに直営の研究チームを50まで増やす計画を巡り、その全体像を26年度をめどに示す考えを明らかにした。具体的に取り組む研究内容や主要な研究者の布陣を早期に公表することで、地域との連携体制を確実に築いていく狙いがある。

 研究チームは、1チーム当たり10人の研究者で構成され、29年度には国内外の500人の研究者がエフレイに所属する見通しだ。現在のエフレイは研究開発をテーマごとに外部機関に委託しているが、段階的に直営の研究チームによる技術開発へ移行を進めていく。

 「連携推進室」福島大が設置

 福島大は、エフレイとの連携強化に向け、学内に「エフレイ連携推進室」を設置した。

 同大はロボット、農林水産業、エネルギー、原子力災害関連の各分野で計6件の委託研究を進めている。各分野での研究の進展を踏まえ、個別の研究だけでなく、組織的な連携を強めていくため、組織を設けた。


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