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涙、充実…「夢舞台」 パリ五輪閉幕、福島県勢が集大成プレー

08/13 08:50

 【パリ=報道部・佐藤智哉】涙あり、充実感ありの夢舞台だった。17日間の熱戦に幕を閉じたパリ五輪で県勢のメダルは、バドミントン混合ダブルスで銅メダルを獲得した渡辺勇大(27)、東野有紗(28)組=BIPROGY、富岡高卒=の一つだったが、選手たちは力を出し切り「やり切った」と悔いを残さなかった。集大成に位置付けた県勢選手も多かった今大会、その戦いぶりを振り返る。

 「世界に通用」実力証明

 バドミントンには富岡高出身の5人が出場した。渡辺、東野組こと「ワタガシペア」は東京五輪に続くメダルを獲得。バドミントンでは、日本勢初の2大会連続のメダルという快挙を成し遂げた。

 「混合ダブルスをしたい子どもが増えたらうれしい」。東野は試合後にこう語った。東京五輪前は人気が低く、国内大会では混合の試合前に観客が帰ってしまうという時代もあったが、人気の火付け役として2人が引っ張ってきた。中学時代からペアを組み、世界で力を示した「ワタガシ」のように中学、高校年代から混合を始める選手もこれからは増えてきそうだ。

 また初出場の大堀彩(27)=トナミ運輸、会津若松市出身=は堂々の8強入りで健闘した。ようやくつかんだ五輪のコートで集大成のプレーを披露し「この先もきっと忘れることのできない日々を過ごすことができた」と万感の思いを語った。

 自転車では、窪木一茂(35)=ブリヂストン、学法石川高卒=が日本の中距離に新たな歴史を築いた。男子オムニアムとマディソンでいずれも6位に入賞し、中距離種目では日本勢初の二つの入賞をつかみ取った。

 オムニアムで14位となったリオデジャネイロ五輪から8年。「ハングリーに生きる」と飽くなき向上心でトレーニングをこなし、35歳で迎えた2度目の五輪だった。「中距離が世界に通用することを示せた」。窪木は日本の中距離が力を付けたことを自らの結果で証明した。

 また競泳男子200メートル自由形と同800メートルリレーの2種目入賞を果たした松元克央(かつひろ)(27)=ミツウロコ、いわき市生まれ=は、3種目で予選敗退だった東京五輪の借りを返した。

 4年後へ引き継ぐ

 4年後には、ロサンゼルス五輪が待っている。「世界の舞台を経験し、課題と収穫が明確になった。4年後にまたこの舞台に戻ってきたい」。8強で敗退した女子サッカーで、全4試合に途中出場した千葉玲海菜(れみな)(25)=アイントラハト・フランクフルト、いわき市出身=はロスで活躍する姿を思い描く。

 千葉だけでなく、JFAアカデミー福島出身で10代で代表入りした古賀塔子(18)=フェイエノールト=と谷川萌々子(19)=ローセンゴード=も4年後は中心選手として期待される世代だ。パリで流した涙もロスで輝く力に変えてくれるはずだ。


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