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デブリ取り出し22日着手 福島第1原発2号機、2週間かけ回収

08/20 07:30

 東京電力は19日、福島第1原発2号機からの溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しを22日に始めると発表した。2011年3月の原発事故後、デブリの取り出しは初めて。廃炉の最難関とされる本格的な取り出しに向けた第一歩で、採取が実現すれば原発廃炉の工程は新たな段階に入ることになる。

 東電によると、デブリの試験的取り出しは、伸縮するパイプ型の装置を原子炉格納容器内部につながる貫通部に差し込み、釣りざおのように先端の装置を垂らしてデブリを回収する。

 東電は19日から最終的な点検や手順の確認を始めており、準備が順調に進めば22日にも貫通部に装置を差し込んで取り出し作業を始める予定だ。デブリへの到達・採取までには1週間程度、回収の完了までには2週間程度かかると想定している。採取したデブリは非常に強い放射線を出す。作業員の被ばく防止のため、採取したデブリは測定を行い、放射線量が毎時24ミリシーベルトを超えた場合などには回収を中止する方針だ。

 取り出し作業を行う2号機では、核燃料が入っていた圧力容器内とそれを覆う格納容器の底にデブリがたまっていると推定されている。今回取り出すのは、格納容器底部のデブリで採取量は3グラム以下の少量を予定する。東電は取り出したデブリの分析結果などを今後の本格的取り出しに向けた検討につなげる方針。ただ、第1原発1~3号機に残る推計約880トンとされるデブリの全量取り出しに向けては、現時点で取り出しの方法や処分先などについての見通しは立っていない。

 試験的取り出しは当初、21年に作業を始める予定だった。しかし、新型コロナウイルスの影響で英国から取り出し機器の到着が遅れたほか、機器の改良にも時間を要し、2度にわたって延期を余儀なくされた。今年1月には取り出し方法の変更などに伴い3度目の延期を行っていた。

 デブリ情報掲載、東電サイト開設

 東京電力は19日、同社ホームページ内に福島第1原発1~3号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)に関する情報をまとめた「燃料デブリポータルサイト」を開設した。

 2号機で22日に着手するデブリの試験的取り出しの状況や、今後予定される1~3号機からのデブリ本格的取り出しに向けた情報なども掲載していく予定という。

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