• X
  • facebook
  • line

放射線の誤解、若者が払拭 環境省、正しい情報発信へ組織発足

08/20 09:45

任命状を手に正しい知識の普及に向け決意を新たにする箭内さん

 環境省は19日、今年3月に実施した東京電力福島第1原発事故の放射線による健康影響に関する全国調査で、被災地の住民の子孫ら「次世代以降への健康影響が高いと思う」との誤解した回答は全体の37.3%だったと発表した。2021年3月の調査開始後で誤解した回答が4割を切るのは初めてで、同省は放射線に関する正しい知識の一層の普及を目指し、県内の若者らによる情報発信グループ「ふくしまメッセンジャーズ」を組織する。

 調査は4回目で、今回は全国の1万2千人が対象。このうち2千人に次世代以降への健康影響に関する質問だけを示した場合、誤解した回答の割合は37.3%だった。一方、別の2千人に対し、本県出身者に知り合いがいるなど関わりのある人の7割以上が「健康影響の可能性は低いと思っている」との情報を示した上で見解を求めたところ、誤解した回答は28.3%と3割を切った。

 調査に関わった大阪大の大竹文雄特任教授は「(本県に関わりがあるなど)より身近な人の発言は(信頼性を含め)影響力が大きい。人は多数派の考えに影響を受けやすいという社会規範の特性もある」とし、質問の仕方により健康影響に関する認識は修正可能だと指摘した。

 環境省によると、過去3回の調査で健康影響に関する質問だけをした場合、誤解した回答の割合は21年が41.2%、22年が40.4%、23年が46.8%だった。

 これまでの調査結果などを踏まえ、環境省は「放射線に関する正しい情報を持つ仲間を増やすことが大切」との認識を改めて強調し、実現に向け「ふくしまメッセンジャーズ」を発足させる。県民を含め本県に関わりのある高校生から30代の社会人で構成し、交流サイト(SNS)を活用するなどして若い世代の共感を呼ぶための情報発信に取り組む。

 箭内夢菜さんサポーター就任

 環境省は19日、メッセンジャーズの活動を支えるサポーターの第1号として郡山市出身の俳優箭内夢菜さん(24)を任命した。東京都内で任命状を受けた箭内さんは「年齢の近い方と福島の今を理解してもらうための活動は大切。大好きな地元の役に立てるよう手伝いたい」と述べた。


この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line