デブリ処分「国民的議論必要」 福島第1廃炉国際フォーラム

08/27 08:15

デブリ取り出しを巡る今後の課題について意見を述べる専門家ら

 東京電力福島第1原発の廃炉について議論する第8回福島第1廃炉国際フォーラム最終日は26日、いわき市で開かれ、専門家や技術者が溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しをテーマに議論を行った。出席者からは取り出しに向けた作業上の課題や、取り出したデブリの保管や処分という長期的課題を巡り発言が相次いだ。

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の主催。NDF理事の玉川宏一氏は福島第1原発廃炉の長期的課題と題して講演し「取り出されたデブリをどのような状態で安全に保管し、処分するかは最大の課題だ」と指摘。その上で「一般の原発の廃棄物と違い、保管や処分の方法などが定まっていない。処分先の選定を含め、国民的議論が必要だ」とした。

 海外の知見も発表された。米エネルギー省環境管理局のグレゴリー・ソッソン氏は、1979年に米国で起きたスリーマイル島原発事故で発生したデブリがアイダホ州の国立研究所で保管されていることなど、同国の放射性廃棄物の輸送や保管の状況を紹介した。その上で「廃棄物を保管する地域の住民と対話の機会を設け、専門家の説明も行い透明性を高くしている」と紹介した。

 東電福島第1廃炉推進カンパニーの飯塚直人氏は、デブリの本格的な取り出しには原子炉建屋の周辺に新たな施設を造る必要があると話し「敷地は限定されており、今ある構築物を撤去していかなければならない」と語った。

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