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豪雨で壊滅…にぎわい再び咲かす 田人の花畑、「憩いの場」復活探る

08/27 08:45

昨年9月の記録的豪雨で壊滅的な被害を受けた花畑を見つめる竹内さん。「にぎわいを取り戻したい」と話す
昨年5月に撮影されたみつ花の里。色とりどりのクリンソウが咲き乱れている(上遠野良夫さん撮影)

 いわき市田人町の仏具山の麓に、2万株のクリンソウが咲き乱れる花畑があった。毎年4~5月に黄色や紫、白の花を咲かせ、口コミで集まった観光客などでにぎわっていたが、昨年9月の記録的豪雨で壊滅的な打撃を受け、ほとんどの花が失われてしまった。「また人が集まる場所にしたい」。約15年かけて夫婦で花畑を整備した竹内茂さん(81)=いわき市錦町=はにぎわいを取り戻そうと試行錯誤を続けている。

 国道289号をいわき市勿来方面から西に進み、四時(しとき)ダムを過ぎ、国道左側の斜面を上ると「みつ花(か)の里」に着く。かつて花畑だった場所は大量の土砂に覆われていた。「これはどうしようもないな」。竹内さんは砂を手でつかみながらつぶやいた。

 竹内さんは妻正子さん(77)と共に、同市錦町で長年スーパーを経営。約15年前に店を閉じると、所有していた山の整備に取りかかった。クリンソウの美しさに魅せられ、近くの人から10株譲り受けて栽培を始めた。重機を使って沢水が流れるようにするなど環境を整え、花を増やしていった。

 2018年ごろから、美しい花畑を見ようと人が訪れ始め、新型コロナウイルス感染拡大前には一日100人ほどが訪れる観光スポットになった。「大勢の人が来て、花に喜んでくれるのは幸せだった」と正子さんは当時を振り返る。

 事態が一変したのは昨年9月8日夜。市内は線状降水帯を伴う記録的な豪雨に見舞われた。夫婦が数日後に花畑を訪れると、植物は山の斜面から流れてきた20~30センチの土砂に埋まり、見るも無残な姿に変わり果てていた。

 土砂を取り除くなど花畑の再生を試みたが、豪雨で山の水の流れが変わったためか沢水も途絶えてしまい、復活は相当難しいことが分かってきた。それでも今年の春には千株程度が花を咲かせ、「花が少なくても楽しみたい」と足を運ぶ観光客もいた。

 被災から間もなく1年。竹内さんは、みつ花の里を再び人がにぎわう場所に戻したいと考えている。「花畑は以前と同じにはならないかもしれないが、ここが人々の憩いの場になればうれしい」。地域の活性化に向けてみつ花の里の整備に協力してくれる人を探している。竹内さんへの問い合わせは電話080・5560・7073へ。

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