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廃炉人材、技能向上へ 東電、訓練施設の検討必要 川内で国際フォーラム

08/26 09:55

パネル討論で地元住民と廃炉についての意見を交わす関係者=川内村

 東京電力福島第1原発の廃炉について議論する「第8回福島第1廃炉国際フォーラム」が25日、川内村で始まった。初日は「1F(福島第1原発)廃炉と地域の未来を考える」と題し、有識者と地域住民がパネル討論で意見を交わした。26日まで。

 出席者から廃炉に向けた人材育成について問われた東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は「(都内にかつてあった)東電学園の出身者が(原発事故の収束で)中核となった」と指摘し、職業訓練施設の再構築を検討する必要があるとの認識を示した。

 その上で「東日本大震災前は第1原発に技能向上センターがあった。復活してカリキュラムを組み、作業員の技量を上げる取り組みをしたい」と説明した。

 出席者からは「福島が原発事故、放射能と結び付けられるのが現実。風評がないように廃炉作業を進めてほしい」との意見が出た。経済産業省の担当者は「昨年から処理水の放出が始まったが、国内で魚に関する風評影響はなかった。正しく情報を伝えることが私たちの責務だ」と答えた。

 フォーラムは原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の主催。

 最終日はいわき市に会場を移し、「燃料デブリ取り出しの現在と今後」をテーマに、海外の専門家を交えて考える。

 作業の安全網構築重要

 福島第1廃炉国際フォーラムでは、東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者が第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しを含む今後の廃炉作業について「作業員の身体汚染や、外部への放射性物質の放出などが絶対に起こらないようセーフティーネット(安全網)をきちんとつくることが大切だ」と強調した。

 具体的な取り組みとして「ヒューマンエラー(人為ミス)を減らしたり、設備が壊れないように手を入れたりしていく」などと述べた。

 2号機でのデブリの試験的取り出しが作業ミスで中断するなど、トラブルが相次いでいる現状について、NDFの山名元(はじむ)理事長は「作業員の安全を守り、住民への心理的負担や風評被害を避けるため、東電が安全確保の基本性を立て直すことが必須で、不断の努力を求める」と指摘した。

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