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デブリ分析施設を公開 JAEA、遠隔で外観観察や構造調査

08/21 11:00

福島第1原発から運ばれてきたデブリを入れ物から取り出す部屋。部屋の外からロボットアームで作業を行う=JAEA大洗研究所照射燃料集合体試験施設
「金相セル」と呼ばれる装置。遮蔽された空間にデブリを置き、遠隔操作で加工や観察を行う

 東京電力福島第1原発2号機で22日にも始まる溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しを巡り、日本原子力研究開発機構(JAEA)は20日、取り出されたデブリを分析する大洗研究所(茨城県大洗町)の分析施設を報道陣に公開した。

 JAEAは採取されたデブリに対し、外観などを観察する「非破壊分析」、切断して顕微鏡などで調べる「固体分析」、薬品で溶かして構成元素を調べる「化学分析」を行う。このうち、非破壊分析と固体分析を担う同研究所の「照射燃料集合体試験施設(FMF)」を公開した。

 JAEAによると、運び込まれるデブリは「耳かき1杯程度」と想定されており、放射線量が一定の基準より高い場合は遮蔽(しゃへい)された部屋に運び込んでロボットアームを使って入れ物から取り出す。次に「金相セル」と呼ばれる装置の中に移し、切断などの加工や走査電子顕微鏡などによる観察を遠隔操作で行う。ウランの同位体の比率を測定する装置も使用する。

 JAEAはデブリの構成材料やデブリに含まれるウランの結晶構造を調べることで炉内状況や事故の進展状況の解明につなげ、安全な取り出し作業に貢献したい考えだ。

 年度内に分析結果をまとめる方針。同研究所燃料材料開発部の前田宏治部長は「デブリの細かい性状が分かれば、取り出しに当たってどんな物を準備すればよいかについて一定の知見が得られる」と意義を語った。「準備はできていて、いつ運び込まれても問題ない」とも述べた。

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