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小型ロケット打ち上げ成功 高度336メートル到達 南相馬の宇宙ベンチャー

08/26 08:30

打ち上げ実験で点火後、緩やかな弧を描くように上昇した小型ロケット=25日午前8時12分、南相馬市小高区
打ち上げ実験を見守る住民ら。発射の際には拍手が起きた

 福島県南相馬市の宇宙ベンチャー「AstroX(アストロエックス)」は25日、同市小高区で小型ロケットの打ち上げ実験を行った。ロケットは点火後、高度336メートル(速報値)に達し、パラシュートが開き海に着水、打ち上げは成功した。県によると、本格的なロケット打ち上げは県内で初めて。

 ロケットは全長184センチで、重さ約9.7キロ。燃料となるプラスチック樹脂に酸化剤を流し込んで点火、午前8時12分、打ち上げられた。音を上げて緩やかな弧を描くように上昇すると約10秒後に高度336メートルに到達。約14秒後には内蔵のパラシュートが開き、約20秒後に着水した。同社はロケットを回収し、詳しい飛行経路などを調べる。

 同社による地上からのロケット打ち上げは初めて。ロケット開発への住民の理解促進や社内教育を目的に実験に踏み切った。最高技術責任者の和田豊千葉工大教授は「100点満点の成功。純粋にうれしい」と手応えを語った。エンジン部品の一部はテクノアカデミー浜(南相馬市)の学生が製作しており、和田教授は「最も大事な部品を作ってくれた。これからも連携していきたい」と感謝した。

 同社は24日にも実験を行ったが、手順の誤りや酸化剤の漏れにより失敗した。このため手順書を再確認したり、部品を組み替えたりして再び挑戦した。小田翔武代表は「昨日に続き、たくさんの方が来てくれた。期待に応えることができ、ほっとしている」と述べた。

 打ち上げ地点から約300メートル離れた見学会場では住民らが見守り、発射の際には拍手が起きた。同市の伹野杏菜ちゃん(5)は「急に上がってびっくりしたけれど、大丈夫だった。すごかった」と興味津々の様子だった。

 同社は今後も県内でのロケット打ち上げを検討している。小田代表は「多くの方のサポートがあった。これからも産業を一緒につくっていきたい」と強調した。

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