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息子に映る災害の記憶 相馬の写真館社長、コンテストで最高賞

08/26 10:00

作品を制作し「子どもたちを守っていくのは、私たち親たちなのだと改めて思うようになった」と話す西村さん
災害に揺れる子どもの内面を表現し、会長賞に輝いた作品「災害の記憶」

 相馬市の星写真舘社長、西村昌也さん(39)が、福島県写真館協会が主催する写真コンテストで1作品のみに贈られた会長賞に輝いた。出品したのは、度重なる水害や地震に襲われ、不安に揺れる子どもの内面を表現した作品。西村さんは「完成した作品を見て、不安を抱く子どもたちを守っていくのは、私たち親たちなのだと改めて思うようになった」と話す。

 コンテストには、各部門に計約200点が出品された。西村さんの作品は自由写真の部で最高賞の金賞も獲得した。作品名は「災害の記憶」で、2年余り前に小学校入学を迎えた西村さんの次男晃佑さんを撮影した写真をアレンジした。

 撮影当時、スーツを着てランドセルを背負った晃佑さんは「撮りたくない」と嫌がったという。西村さんは「顔が見えなくなるから」とサングラスをかけさせ、何とか撮影した。

 晃佑さんの入学前、相馬市は多くの災害に見舞われた。2019年には東日本台風と大雨があり、入学直前には震度6強の地震が起こった。晃佑さんは小さな揺れにも敏感に反応するなど、災害におびえるようになっていた。

 西村さんは、そうした晃佑さんの心の内を表現するように、サングラスのレンズに水害と地震で被害を受けた市内の写真をはめ込んだ。写真全体はモノクロを基調にしながらも、レンズの中をカラーにしたことで災害の生々しい記憶が晃佑さんの脳裏に刻まれていることを印象付けた。

 撮影から月日がたち、晃佑さんは今、小学3年生になった。「伸び伸びと大きく育ってほしい。そして、災害に負けない力を付けて人生を歩んでほしい」と西村さんは願う。(丹治隆宏)

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