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単純作業の管理「十分でなかった」 デブリ採取ミスで東電社長

09/05 07:41

斎藤経産相にデブリ取り出し作業の中断の要因を報告する小早川社長 (左)

 東京電力の小早川智明社長は4日、斎藤健経済産業相と経産省で面会し、福島第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出し作業で起きたミスについて「単純作業の管理が十分でなかったことが直接的な要因」と報告した。作業は協力企業が中心で、東電社員は現場に立ち会っていなかった。中断している作業について、小早川氏は面会後の取材に「できるだけ早期に再開したい」と述べたが、時期については明言を避けた。

 東電は5日に記者会見し、原因と作業工程の再確認など対策を説明する。確認作業は数日程度を見込み、取り出し再開は週明け以降とみられる。

 面会で小早川氏は、現場は放射線量が高く、作業員の重装備が必要な環境だと説明し「パイプ運搬などの準備作業で、東電を含め作業手順の確認が十分でなかった」と報告。作業再開に向け「(作業)工程全般の確認プロセスを再精査する」とし、今後は東電が作業確認を徹底すると強調した。

 斎藤氏は「高線量下の作業では、準備作業を含め細部まで東電が目を配って確認しなければ当初の工程通りにはならない」と指摘。その上で「廃炉の根幹となる最も困難な作業に入っていく中で、作業の特性を十分に考慮し、地元や国内外に不安を抱かせることのないよう高い緊張感を持った対応を厳しく求める」と指示した。

 東電は8月22日に事故後初となるデブリ取り出しに向けた作業を開始。原子炉格納容器の貫通部から装置を差し込み、2週間程度かけて数グラムのデブリを試験的に採取する予定だったが、装置を押し込むパイプの取り付け順を間違えたことが分かり、作業初日に中断した。7月28日に機材を設置した段階でミスが起き、その後も見過ごされた。

 東電によると、誤った順番で接続したパイプを挿入するとトラブルが発生する可能性があるという。今回のミス発覚後、正しい順番に修正するなどして作業を再開しなかった経緯について、担当者は「安全を最優先した」としている。

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