東京電力は5日、作業を中断している福島第1原発2号機からの溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しについて、早ければ来週にも再開できるとの見通しを示した。また中断原因となった作業ミスの調査結果を公表し、事前の準備作業で起きた取り出し装置に接続するパイプの接続順の誤りについて、東電が作業内容を軽視し、作業の確認が現場任せとなっていたことや準備が不十分だったことが要因になったと明らかにした。
作業ミスのあった準備作業は、試験的取り出し着手前の7月27~29日に2号機建屋内で行われた。作業は放射線量が高く重装備で行う必要があり、5本あるパイプの識別が難しいにもかかわらず、東電は接続順の間違いにつながったパイプ運搬などの作業を「一般的な作業」と位置付け、手順書に接続順の具体的な確認方法を記載していなかったほか、事前の訓練も行っていなかった。
作業は東電社員の立ち会いもなく、協力会社の作業員のみで実施。7月30日には東電社員が確認をしたが、接続準備が済んだパイプの順番の確認はしなかったという。記者会見した福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は「現場の確認を協力企業の確認に任せていた。大いに反省すべきだと思っている」と語った。
調査結果を受けて東電は、試験的取り出しに関する作業全般について東電社員による作業の確認を徹底するほか、より現場視点に立った作業手順の見直しやこれまでは対象としていなかった作業についても事前の訓練を行うことなどの対策を示した。
また作業再開に向けては、接続順の間違ったパイプの入れ替えや手順の再確認にさらに数日程度かかるとし、週内の再開については難しいとの見方を示した。
原発事故後初となるデブリの試験的取り出しは8月22日に着手する計画だった。しかし、当日の準備作業中に取り出し装置につなぐ5本のパイプの接続順が誤っていることが判明し、作業を中断した。4日には東電の小早川智明社長が斎藤健経済産業相に原因の調査結果を報告した。