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【震災13年6カ月】再生進む古里、特色豊か 12市町村、交流人口の拡大期待

09/11 12:45

 東京電力福島第1原発事故に伴い、避難指示が出るなどした12市町村では、復興への取り組みが着実に進む。新たな施設の開所に加え、古里に戻って地域再生に取り組むなど、さまざまな動きがあり、交流人口の拡大が期待されている。特色ある地域づくりに向けて取り組んでいる住民の姿を、12市町村ごとに紹介する。

南相馬・小高 みらい農業学校開校 

 南相馬市は4月、小高区の旧鳩原(はつぱら)幼稚園に就農支援学校「みらい農業学校」を開校した。

 農業法人などへの就職を見据えた「雇用就農」に特化した学校で、県内外の20~50代15人が入学。受講生は1年間、野菜の栽培実習や機械講習、座学での授業を通し、農業に関する基本的な知識や技能を習得する。市内ではほ場整備も進んでおり、基幹産業である農業の復興に向けた取り組みが本格化している。

写真=みらい農業学校の開校式。市内では農業の復興に向けた取り組みが本格化している

 【帰還率29.9%】住民登録1万2842人(震災時)、居住者3846人(7月末現在)

 

田村・都路 縄文遺跡教育に活用 

 田村市の都路地区は、地域の自然や伝統文化を学ぶ環境を整えるなど、再開した学校で都路ならではの特色ある教育に取り組んでいる。

 同地区からは縄文時代の遺跡が数多く出土しており、復元した竪穴住居などの観光名所がある。都路小では縄文文化を学ぶ土器作り体験を行ったり、観光パンフレットを手作りしたりするなど歴史ある地域を学び、魅力発信にも力を入れている。

写真=復元した竪穴住居の見学や縄文土器作りを行った都路小と関係者たち

 【帰還率93.0%】住民登録1898人、居住者1766人(8月末現在推計)


大熊 下野上新住民ら交流

 JR大野駅西口の下野上地区でさまざまな地域再生の取り組みが進められている。3月には大野南と原の二つの住宅エリアが整備され、鍵の引き渡し式が行われた。新たなコミュニティーづくりも進み、住民主体のイベントも始まった。

 5月には町商工会の新会館が完成し、町内での事業再開や新規創業を後押しする体制が強化された。産業交流施設や商業施設の工事も行われている。

写真=下野上地区の住宅エリアで開かれたイベント

 【居住率11.2%】住民登録1万1505人(震災時)、居住者1296人(7月末現在)

 

双葉 えきにし住宅が完成

 6月にJR双葉駅西側に整備してきた災害公営住宅・再生賃貸住宅「えきにし住宅」が完成し、全86戸で入居が始まった。7月には、住宅の入居者による管理組合も設立された。

 双葉町商工会が5月に13年ぶりに町内に事務所機能を戻し、7月には駅前にコインランドリーが開店するなど商工業再生に向けた取り組みも進んだ。中野地区では、8月にカンファレンスホテルの地鎮祭が行われた。

写真=JR双葉駅西側に完成した「えきにし住宅」

 【居住率1.9%】住民登録7140人(震災時)、居住者142人(1日現在)

 

浪江 「登り窯まつり」復活

 大堀相馬焼協同組合が5月、町内の物産会館「陶芸の杜おおぼり」で14年ぶりに「登り窯まつり」を復活させた。津島地区でも7月に駐在所が再開し、8月には14年ぶりに盆踊りが行われるなど地域再生が進む。原発事故の影響で休止している浪江町伝統のサケ漁の復活に向け、ふ化施設の整備も始まった。

 6月にはフランス料理のビストロが開店するなど、町を活気づかせる新たな動きもある。

写真=14年ぶりの「登り窯まつり」で、窯出しされた作品に見入る来場者

 【居住率10.4%】住民登録2万1542人(震災時)、居住者2243人(7月末現在)

 

富岡 2地区で除染と解体

 町土再生が一歩進んだ。帰還困難区域のうち特定帰還居住区域に指定された小良ケ浜、深谷両地区で今月から除染や家屋解体作業が始まった。昨年11月には両地区の線的・点的な復興拠点が避難指示解除されている。

 産業面では国道6号沿いに計画する新たな産業団地「(仮称)富岡第2産業団地」事業や、夜の森地区にあったリフレ富岡跡地に物販施設や温浴施設などを建設する準備が進められている。

写真=特定帰還居住区域に指定された深谷地区で始まった除染作業の様子

 【居住率22.1% 】住民登録1万1384人、居住者2517人(1日現在)

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