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【震災13年6カ月】再生進む古里、特色豊か 12市町村、交流人口の拡大期待

09/11 12:45

楢葉 インターハイ会場に

 スポーツ振興施策が進む。町総合グラウンドにあった旧陸上競技場を改修し、6月に完成したのが「住鉱エナジーマテリアルNARAHAピッチ」(多目的運動場)。今年から固定開催となった全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技の試合会場となった。

 震災で休止した、子育てを地域で支援する事業「ファミリーサポートセンター」が再開するなどソフト事業拡充も図る。

写真=6月に落成した住鉱エナジーマテリアルNARAHAピッチ

 【居住率68.6%】住民登録6465人、居住者4439人(7月末現在)


広野 駅東側の分譲始まる

 復興の取り組みが進む。広野駅東側の「広野駅東ニュータウン」が完成し、分譲が始まった。社会課題解決を図るタウンマネジメント会社を設立し、来年4月から業務を始める。一方、国道6号沿いに建設予定だった道の駅の整備を中止し「防災の駅」を整備することを決めた。

 町の緊急時避難準備区域が解除された2011年9月30日にちなみ、毎年同日を「復興創生の日」と定めた。

写真=分譲が始まった広野駅東側の「広野駅東ニュータウン」

 【居住率91.5%】住民登録4562人、居住者4175人(8月末現在)、みなし居住率114.3%(町民+滞在者=5217人)

 

川俣・山木屋 体験農園人気集める

 川俣町が昨年3月に整備した「体験農園」が町内外から人気を集めている。

 山木屋地区は震災前、町内では有数の農業地帯として農業が盛んだった。町は離農者の帰還や移住定住を目指す新規就農者の確保を狙い、同地区の一角を農地に整えた。

 現在は30区画が整備され、町内の観光農園「smile farm」が管理を町から引き受け、野菜作りなどを教えている。

写真=体験農園を管理する「smile farm」の根本文也さん

 【帰還率26.0%】住民登録1252人(震災時)、居住者326人(1日現在)

 

葛尾 居酒屋やカフェ開業

 宿泊交流館みどりの里せせらぎ荘に3月、居酒屋がオープンした。避難指示が解除された後に住民帰還は進んだものの、夕食を食べることができる店がなかったため、住民の生活環境の向上につながった。7月には、野上地区にギャラリーカフェも開店した。

 8月には、浪江青年会議所による「標葉祭り」が開かれるなど、交流人口を拡大させていく取り組みも進んでいる。

写真=村民の憩いの場として3月にオープンした居酒屋

 【居住率29.6%】住民登録1567人(震災時)、居住者465人(1日現在)


飯舘 移住、定住をサポート 

 飯舘村への移住、定住を支える施設「いいたて移住サポートセンター」を5月に整備した。本年度から愛称を「3ど いいたての暮らしをつなぐステーション」とし、村民同士や来村者との交流の場づくりも手がける。

 福島市のデザイン会社「サガデザインシーズ」が移住前後の相談や村の情報発信を担う。愛称は「1度ではなく何回も来てもらって村の魅力を知ってもらいたい」と思いを込めた。

写真=リニューアルされた「いいたて移住サポートセンター」

 【帰還率23.4%】住民登録6509人(震災時)、居住者1525人(1日現在)


川内 ハウスブドウ新特産

 交通の利便性が高まり、人的交流や物流の活発化が進んだ。4月に村と小野町を結ぶ県道が整備され、医療機関へのアクセス向上など住民の生活環境が改善した。さらにいわき市に通じる国道399号も整備されており、交通の結節点となっている。

 震災後始まった水稲用の育苗ハウスを活用して栽培する生食用ハウスブドウが村の新たな特産品となっており、栽培農家や栽培面積が年々増加している。

写真=川内村の特産品となったハウスブドウを手入れする村民

 【居住率83.0%】住民登録2250人、居住者1869人(1日現在)

    ◇

 帰還居住区域、4町の復興計画認定 

 東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、特定帰還居住区域の一部で除染が始まり、避難指示解除に向けた取り組みが本格化しつつある。

 特定帰還居住区域は、特定復興再生拠点区域(復興拠点)を除く帰還困難区域に設定される。帰還意向のある住民が帰還できるよう、除染を進めて避難指示を解除する。帰還困難区域を抱える南相馬、富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の7市町村のうち、富岡、浪江、大熊、双葉の4町が区域の範囲などを定めた復興再生計画を作成し、政府の認定を受けた。4町とも除染や家屋の解体工事に順次、着手している。

 特定帰還居住区域では、生活再建に必要な対策などが今後の焦点となっている。復興庁の2025年度予算の概算要求では、特定帰還居住区域の関連事業費に24年度当初予算を170億円上回る620億円を計上しており、除染を進展させる。

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