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「ハワイアンズ」今後に市民注目 海外客増え地域活性、「らしさ」消えないで

09/10 11:35

家族連れらでにぎわうスパリゾートハワイアンズのプール=2022年4月

 福島県いわき市の「スパリゾートハワイアンズ」を運営する常磐興産が、米投資ファンドに買収されることが明らかになった9日、市民から驚きの声が上がった。外資のノウハウを生かしてインバウンド(訪日客)を取り込んでほしいと前向きに受け止める意見があった一方、「サービスが変わってしまわないか」と心配する人も。炭鉱閉山の危機から街を救い、東日本大震災の苦難も乗り越えた本県を代表する観光施設が今後進む道筋に、大きな注目が集まっている。

 ハワイアンズの駐車場は同日も、多くの乗用車やバスで埋まっていた。

 「資金力を使って活性化されるのであれば、それはうれしいこと」。毎年ハワイアンズを利用するという同市の保育士田口愛弓(あゆみ)さん(28)は話す。「ハワイアンズでは日本人しか見ない」と語る田口さんは、外資ファンドのインバウンドを呼び込む力に期待する。「さらに知名度を高めて、ディズニーランドのようになってほしい。より多くの人がいわきに来ることで、地域も盛り上がると思う」と話した。

 南国をモチーフとしながら「日本らしさ」も色濃く残すハワイアンズの雰囲気は、今後どうなるか。小学生の息子と年に5、6回利用しているという同市の会社員男性(48)は「正直、心配。プールやショーなどが変わってしまわないか」と懸念を口にした。「経営方針が変わった影響で、地元の雇用が減ることがないようにしてほしい」とも述べた。

 ハワイアンズから近いいわき湯本温泉旅館協同組合の薄羽裕一理事長(54)は「今後どう改革していくかなどが見えてきた段階で、今後の連携について話し合いたい。同じ湯本地区の観光を担う団体として一緒に頑張っていくことに変わりはない」と話した。

 市長「地域と対話を」

 いわき市の内田広之市長は9日、「常磐興産は約140年間地域に根差した企業。経営主体が変わっても従業員の雇用は守り、地域との対話を大切にしてもらいたい」とのコメントを発表した。

 スパリゾートハワイアンズはいわきを代表する観光施設。市の担当者は「厳しい競争を勝ち抜くための経営判断」との認識を示し、状況を注視しながら必要な対策を検討する方針という。

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