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【新まち食堂物語】御食事処 旬・喜多方市 飽きない味、健康も志向

09/22 12:00

  • 動画付き
「旬の食材をふんだんに使った料理を届けたい」と語る木戸光喜さん(右)と妻明美さん(石井裕貴撮影)
栄養バランスが整った日替わり定食と、おろしポン酢でさっぱりと味わえる鶏竜田揚げ定食

 喜多方市の県喜多方合同庁舎近くにある「御食事処(どころ) 旬」では、店名通りに旬の食材をふんだんに使った定食が味わえる。店を切り盛りする木戸光喜さん(57)、明美さん(56)夫妻は心温まる料理と笑顔で客をもてなす。

 1993年創業。木戸さんの父武光さんが空き店舗を改装してオープンさせた。店は「魚や肉、野菜など旬の食材を取り入れた料理を提供したい」との思いから「旬」と名付けた。

 木戸さんは喜多方商高を卒業後、会津若松市の鮮魚店で約6年間、修業を積んだ。鮮魚店では結婚式場で提供する料理の調理も担っており、腕を磨いた。

 店を継いだのは開店から1年後の94年。会津若松市のホテルで働いた経験がある明美さんと共に約30年にわたり調理場に立ち、地域から愛される店へと成長させた。

 旬の食材 会津産

 開店当初からの看板メニューは日替わり定食。お盆の上には魚料理や揚げ物、煮物、サラダ、漬物、汁物、白米の7品が並ぶ。これで770円という安さだ。「常連さんは毎日のように日替わり定食を頼んでくれる。毎日食べても飽きない味にしている」と明美さん。日替わり定食は客からの注文の半数以上を占める。

 白菜やジャガイモ、キュウリなどの野菜は西会津町の明美さんの実家で育てたものを譲り受けるなど、ほとんどが会津産を使用。魚は新潟、宮城、山形などの近県のほか、北海道や北陸地方など、季節に応じて全国から旬のものを仕入れている。コメは会津坂下町大添地区や喜多方市塩川町源田地区の契約農家のコシヒカリをふっくらと炊き上げている。

 客層は50代前後の男性が多い。味付けで心がけているのは薄味に仕上げること。「われわれくらいの年齢になると、懐かしい味が恋しくなる。栄養とバランスを考え、ヘルシーなメニューが気に入られている」と木戸さん。同じ食材でも味付けを変え、飽きがこないよう工夫を凝らす。

 日替わり弁当も人気で、工場や病院、役所、学校からの注文が多い。710円、930円、1150円の3種類を用意し、価格によってメニューや量を変えている。多い時は一日で50個の弁当を作ることもあり、地域にとって欠かせない存在だ。

 地域に寄り添う

 昨年3月にはJR喜多方駅近くに居酒屋「肴家(さかなや)笑和(しょうわ)」をオープン。笑和は木戸さんとスタッフ、旬は明美さんが中心となって調理するようになった。笑和では刺し身など魚料理を中心に酒のつまみになるメニューが楽しめる。食材は旬と笑和で使うなど食品ロスの削減にも努めている。

 「喜多方では飲食店を料理だけで選ぶのではなく『あの店主がやっているから行こう』と考える人が多い」。西会津出身の明美さんは結婚を機に喜多方に移り住み、そう感じている。「困りごとがあったら気兼ねなく相談できるような、そんな場所になってくれたらうれしい」。これからも木戸さん夫妻は地域に寄り添い、住民らの胃袋を満たしていく。(阿部二千翔)

お店データ

■住所 喜多方市字桜ガ丘1丁目116の2

■電話 0241・24・3888

■営業時間 午前11時40分~ラストオーダー午後1時40分。平日夜と土、日曜日、祝日は宴会のみで完全予約制

■定休日 日曜日

■主なメニュー
▽日替わり定食=770円
▽焼き肉定食=880円
▽鶏竜田揚げ定食=880円
▽かき揚げ丼=650円

 相田みつをの作品

 店内には木戸さんがファンという書家で詩人の相田みつをの作品が飾られている。「なまけると こころがむなしい 一所懸命になると 自分の非力がよくわかる」。木戸さんは「これは長年、自分に言い聞かせている言葉。胸に染みるなあ」と作品に目をやる。

 NHKラジオ第1「ふくどん!」で毎週木曜に連携企画

 新まち食堂物語は福島民友新聞社とNHK福島放送局の連携企画です。NHKラジオ第1で毎週木曜日に放送される『ふくどん!』(休止の場合あり)のコーナー「どんどんめし」で紹介される予定です。

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