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【9月24日付社説】立民代表に野田氏/政策重視で野党連携進めよ

09/24 08:15

 首相経験者を先頭に、政権交代を目指すことになる。立憲民主党がどう野党をまとめ、国のかじ取りを担い得ると、国民を納得させることができるかが問われる。

 立民は新代表に野田佳彦元首相を選んだ。野田氏は「力を合わせて、心を合わせて自民党に向かっていきたい。挙党態勢で政権を取りにいきましょう」と述べ、党の結束を訴えた。野田氏は下野した後の国会などで、首相経験を交えた巧緻な弁舌で与党からも高い評価を得てきた。与党の姿勢を正しつつ、政権交代に向けた具体的な政見などを示してもらいたい。

 民主党が下野した12年の衆院選以降では、政権交代の可能性が最も高まっていることは間違いあるまい。ただし、それは自民党の政治資金パーティーに絡む裏金問題という敵失が最大の要因であり、世論調査で立民の支持率は伸びていない。野田氏を含めた立民の取り組みが評価されてのものではないことを忘れてはならない。

 自民は政権を取り戻して以降、裏金問題などの疑惑や、安全保障などの課題について国会軽視の姿勢を強めた。立民の前身である民主党を含めた野党が離合集散を繰り返し、自民の対抗軸たり得ていなかったことが理由の一つだ。

 民主党は政権を担った際、東日本大震災や原発事故の対応で迷走した。野田氏の首相在任時にも、財政改革の法案可決と引き換えに衆院解散を野党に約束するなど、混乱ぶりを露呈した。こうした経緯から、民主の流れをくむ立民の政権担当能力を疑う見方が今も根強いのを重く受け止めるべきだ。

 野田氏は、新首相が選出される見通しの臨時国会で、能登豪雨に対応した補正予算の編成が必要との考えを示している。また企業・団体献金の禁止などを盛り込んだ政治資金規正法の再改正案などを提出するとしている。審議を通じて、一連の問題で自民に失望した層の取り込みを目指す考えだ。

 自民は臨時国会で、審議をほぼ行わないまま衆院を解散する可能性があるとみられている。自民に審議に応じさせ、立民の存在感を示せるかが最初の試金石となる。

 次期衆院選に向けて課題となるのは、ほかの野党との連携だ。野田氏は野党候補の一本化が重要としている。ただ安全保障などについては野党間に加え、立民内でも考えの違いがある。共産党との連携も賛否が分かれている。

 大切なのは政権交代そのものより、その後、安定して政権を運営できるかだ。野田氏には数合わせではなく、政策面での連携ができるかを重視するよう求めたい。

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