• X
  • facebook
  • line

立憲民主、保守票取り込みへ 衆院選、失う共産票に危機感も

10/09 07:30

 衆院選の県内選挙区の多くで立憲民主党と共産党の候補者が競合し、前回衆院選で候補者を一本化した「野党共闘」は実現しない見通しとなっている。県内4選挙区に候補者を擁立する立民県連は、共産との関係見直しで保守票の取り込みを期待する一方、共産票を失うことへの危機感も出ている。

 野党共闘が実現した2021年の前回衆院選では区割り変更前の県内5選挙区のうち1~4区は立民、5区は共産に候補者を一本化。3選挙区で立民候補が自民党候補に競り勝った。22年の参院選でも関係は続き、共産が立民候補を支援した。

 その風向きが変わるきっかけとなったのが今年5月の立民県連定期大会だ。立民県連代表に共闘に否定的な小熊慎司衆院議員が就き、共産が候補者擁立を予定する福島4区を含めた県内全選挙区に候補者を擁立する方針を決めた。前回衆院選で共産が「統一候補」となった旧福島5区は、いわき市や双葉郡の浜通りが選挙区。県連内には「2回連続で候補者不在となれば、浜通りでの支持基盤構築が難しくなる」(県連幹部)との危機感もあった。

 9月、立民が福島4区の擁立候補を決めると、共産は対抗策として福島2、3区に相次いで候補者擁立を発表した。福島1区への擁立は見送ったが、県内選挙区での共闘ムードは一気に冷え込んだ。

 両党は元々、政策面で隔たりが大きく、支援組織や県連内部には共闘関係に根強い異論もあった。立民県連の宮下雅志幹事長は「共産とは考えが違う。政治と金の問題などで自民を見限った保守層の受け皿になるにはプラスに働く」とみて「共産の票がなくても勝ち切る」と言い切る。ただ共産票を失うのは痛手で、県連所属県議の一人は「(前回と違い)まとまった票が共産の候補に流れるのは間違いない」と警戒を強める。

 中央では立民の野田佳彦代表が共産などに対し、自民党派閥裏金事件の関係議員がいる選挙区への対抗馬一本化を打診するなど共闘を探る動きが続く。協議がまとまれば県内でも野党候補一本化の可能性は残るが、15日の公示まで残された時間がなく実現は不透明だ。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line