まず、福島高や福島東高などのOBから支持を受けたのが、福島市の老舗、光月堂の「プリンパン」。代表を務める4代目、渡辺政晴さんの父孝志さんが40年ほど前、プリンアラモードをヒントに考案した。スポンジ生地としっかりした生地の2層構造の真ん中に、自家製プリンが丸ごと1個のっている。さらにその周りをクリームが縁取る、もはやデザートだ。
安積高OBの"推し"は「コーヒーパン」。クリームボックスに次ぐ「もう一つの郡山市のご当地パン」として根強い人気があり、同市のふたばやパン店とガトーナカヤで製造している。
ふたばやは1927(昭和2)年創業の老舗。「生地の中に緩く包んだコーヒーバターが、あえて生地の外に染み出すようにしている」と4代目の星慶太さんが言うように、パンの底面からコーヒー液がじゅわっと染み出し、袋にこぼれている。ここが人気の秘密だ。
一方、安積高のすぐそばに店を構えるガトーナカヤ。同校の生徒が買っていたのは同店の商品のようだ。「現役の高校生より卒業生が懐かしがって買っていく。パッケージをひっくり返して染み出し具合を確認するお客さんもいる」と、同店の取締役。
いわき市からは、親子2代でファンだというご当地パンの情報が届いた。「勿来工高時代のソウルフードといえば、植田のキムラヤのあんバターパン。たまに食べたくなるので、現在は勿来工高生の長男に買ってきてもらいます」(同市の読者)
あんを巻いたパンの上にマーガリンがのっている。約50年前からこの形で、高校の購買にも納入しているという。こだわりは、デニッシュ系のパン生地と、あんの甘さと塩気のあるマーガリンとの相性の良さだ。
再現にこだわり
パン祭りの締めは、個性的な商品を二つ。まずはオカザキドーナツ(福島市)の「水虫パン」! 足の形をしたこんがり焼けたパンの上に、そぼろ状のクッキー生地がぱらぱらと。再現性の高さに若干ひるむが、一口食べると上品で飽きないおいしさが広がる。「名前は強烈ですが、ジャムが何種類もあっておいしい」という投稿通り、ピーナツやブルーベリークリームチーズ、カスタード、イチゴジャムなどがサンドされていて、食べ比べたくなる。また、同店の「ポテトサラダパン」を推す声も複数寄せられた。
続いては同市飯野町のオレンジジャムが作る「おやじパン」。「ベースはクリームパンですが、おじさんの顔がモチーフになっています。毛の生えたほくろまで再現されている念の入れようです」(福島市、ケイエヌさん)という気になる投稿が。スタッフの村山光子さん(59)が石窯で焼く「おやじパン」は、ふっくらと立体的で愛嬌(あいきょう)がある。髪の毛や眉はブラックココアパウダーを練り込んだ生地で表現し、中には卵が香る自家製カスタードクリームがたっぷり。また会いたくなる、忘れられない"おやじの味"だ。
いずれも個性やこだわりにあふれる魅力的なパンばかり。さて、今日のお昼はどこへ買いに行こうか。(佐藤香、吉村響)