30日に投開票が行われた石川町長選では、新人で前副町長の首藤剛太郎氏(59)=無所属=が初当選した。町発注の公共工事入札を巡る官製談合、贈収賄事件を受けた前町長の辞職に伴う選挙は、公正な町政運営に向けた「再出発」の戦いとなった。
「投票率は過去最低で、私自身の責任と感じている。この事実をしっかりと受け止め、信頼回復に努める」。選挙事務所に集まった支持者を前に、首藤氏は厳しい表情を崩さず決意を語った。前町長の側近として働きながら立候補したことへの批判の表れと受け止めつつ、町政立て直しへの強い覚悟を新たにした。
「お花や酒類、菓子等の差し入れは、固くお断りをさせていただいております」。首藤氏の事務所には、こうした注意書きが張られた。「クリーンな選挙戦を貫こう」という陣営の考えで、陣営幹部によると、実際に持ち込みを断った例もあったという。
町では2006年7月に当時の町長が町職員採用を巡る贈収賄事件で逮捕されて以来、再び町政のかじ取り役が贈収賄事件で逮捕された。前町長らが4月30日に逮捕されて以降、町は入札の執行を全面的に見合わせており、12月予定だった認定こども園の開園が無期限で延期されるなど町民生活にも影響が出ている。
町民からは、繰り返された汚職への失望や町政の健全化を求める声が上がる。首藤氏の街頭演説を聞いた70代女性は「この町は18年前と同じことを繰り返した。未来に向けて今度こそ、ちゃんとした町をつくらないといけない」と強調した。
選挙戦で首藤氏は「公正な町政運営をする」と再三主張してきた。新たなリーダーの下、透明性ある町政をどう実現していくのか。町民は注視している。