国見町が民間企業と共同開発した高規格救急車を貸し出す事業を断念したことを巡り、国見町は11日、事業を受託した企業との関わりや、事業の業務で不適切な行動や処理があったとして、職員4人を懲戒処分にしたと発表した。また主幹職の60代男性を厳重注意処分にしたと明らかにした。処分はいずれも10日付。
懲戒処分の内容は、主幹職の40代男性を減給3カ月(10分の1)としたほか、課長補佐職の40代男性を減給1カ月(10分の1)とした。課長職の50代男性と主査職の30代男性については戒告とした。
町によると、主幹職の40代男性は、受託企業と公務上の情報を交換する場として私的な交流サイト(SNS)でグループを作成して利用を促した。また、直接の利害関係がない部署に異動後に同社と3回会食していた。関係する職員として主幹職の60代男性を厳重注意処分にした。
課長補佐職の40代男性は、SNSを通じて公募に関する決裁前の文書などを同社に送信していたほか、業務で不適切な処理により公務の運営に支障を生じさせた。
課長職の50代男性は、部下に適切な指導をせず、管理監督者として不十分な点があった。主査職の30代男性は公務上の情報交換をする場としてSNSのグループに参加したことや、救急車の仕様書について同社に作成の助言を求め、同社の提案により仕様書を作成し、結果的に同社が受注することになったことは、不適切な処理だったとした。
引地町長、給与減額へ 15日に臨時会に議案提出
高規格救急車を貸し出す事業を巡り、国見町の引地真町長は、一連の問題の責任を取るとして給与を減額する方針を固めたことが11日、関係者への取材で分かった。町は15日の町議会臨時会に引地町長らの給与に関する条例改正案を提出し、一連の問題に対して引地町長は初めて責任を取る形になる。
問題を巡っては、町議会が設置した地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委)が7月、引地町長の政治的責任などを求める調査報告書を可決。町が設置した町事務執行適正化第三者委員会も9月に事業計画の不備や運営体制の問題点などを指摘する報告書をまとめた。
両委員会の報告書の提出を受け、引地町長は町のホームページでそれぞれ再発防止を徹底するなどのコメントを発表したのみだった。関係者によると、今回給与を減額するのは引地町長と佐藤克成副町長で、減額幅や期間については調整中。
また、町は21日から25日まで町内各地で町民向けの説明会を開き、一連の問題に関する報告書や町の対応などを説明する方針。