物価高…学校給食食材も「節約」 福島県内、栄養士ら知恵と工夫

10/15 07:50

給食センターで調理する職員たち(福島市教委提供)

 ロシアのウクライナ侵攻や円安による物価高騰の影響が、福島県内の学校給食にも及んでいる。1食当たりの予算が限られる中、食材費を抑えようと栄養士や調理員は日々、頭を悩ませる。生野菜より安い冷凍野菜を使ったり、野菜の皮を有効活用したりするなど、栄養士らの知恵と工夫が「当たり前」の給食を支えている。

 「魚の切り身だけで150円かかるので、なかなか使えない」。福島市の北沢又小に勤務する調理員の五十嵐由美さんはため息をつく。同校は校内の配膳室で調理して提供する自校給食校で、栄養士の遠藤美菜子さんらと相談しながら献立を考えている。

 魚の切り身の値段が高いことから、生魚よりも値段が安い焼き魚や味付きの魚を購入。これまで廃棄していた野菜の皮やダイコンの葉にも目を向け、安全確保を第一に、きれいな部分を丁寧に洗った上で、味ご飯などの色味に使ったりしている。遠藤さんは「栄養価を満たすためには葉物野菜を使いたいが、高い」と話し、野菜は気候変動の影響を受けやすく、値段の予想が難しいと吐露する。

 同市の東部学校給食センターでは、以前から生野菜のほか冷凍野菜を使う機会もあるという。主任栄養士の佐藤佐智子さんは「青みを生かしたい時は生野菜、ポタージュなど溶かして使う時は冷凍野菜」と説明、「生野菜より保存できるので、以前より使う頻度は増えたかもしれない」と語る。

  公費負担「柔軟に」

 福島市の給食は1食当たり小学校が330円、中学校が380円で、このうち市は130円を補助している。直近では昨年5月に30円値上げしたが、市は2020年から公費負担を開始し、22年分から家庭が支払う額を据え置いている。

 給食費の公費負担は他自治体でも行われている。郡山市は、市立小中学校、義務教育学校の給食費の無償化に取り組んでおり、担当者は「提供水準が下がることのないよう、柔軟な対応に努めたい」と語る。

 小中学校とも40円の公費負担をしている会津若松市では、コメ、パン、麺の主食は1年間の価格が決まっているため、副食(デザート含む)の部分で栄養士が食材費をやりくりしている。いわき市ではメニューの削減や材料の変更などはなく「保護者への追加負担を求める考えはない」と担当者。福島市の東部学校給食センターの渡辺敏勝所長は「厳しい状況でも、栄養士たちの努力で成り立っている」と現場の思いを代弁する。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line