国際宇宙ステーション(ISS)から地球に帰還した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の古川聡飛行士(60)が、22日までに共同通信のインタビューに応じた。日本人2人が月面に立つ見通しとなった国際月探査「アルテミス計画」に関し、「月に行きたい気持ちはあるが、私より若い人が選ばれるのでは。私は自分の経験を伝え、若手を支援したい」と語った。
医師である古川さんは、月での有人探査について、宇宙から降り注ぐ強い放射線が人の遺伝子や中枢神経系にどう影響を与えるのかに関心があると説明。地表を覆う「レゴリス」という細かい砂が肺に入った場合の影響も、研究を進める必要があるとの考えを示した。
国が主導してきた宇宙開発は、近年は民間企業の参入が相次いでいる。古川さんは「企業が持つ潜在的な技術をぜひ生かしてほしい。日本の建築技術は一流で、月面での基地建設などで生かせる」と期待を述べた。
古川さんは2023年8月からISSに滞在、24年3月に帰還した。将来の有人月探査を見据えた水の再利用技術の実験などに取り組んだ。