映像華やかな都庁、足元には貧困 格差象徴、知事選への思い

06/28 15:28

 プロジェクションマッピングに彩られた東京都庁第1本庁舎=2月

 オーケストラの音楽に合わせて高層ビルの壁面に桜吹雪が舞い、実物大のゴジラが現れる。東京都新宿区の都庁では2023~24年度で16億円超の予算を投じ、世界最大規模のプロジェクションマッピングが上映されている。一方、その真下では、困窮者支援団体が実施する無料食料配布に700人が列をなす。格差を象徴するような現場で都知事選への思いを聞いた。

 6月上旬、都庁のそばでNPO法人などが開いた食料配布。野菜やレトルト食品を求め、開始1時間前から多くの人が並んでいた。豊島区の女性(83)は「年金だけではギリギリで…」と明かす。

 月7万円の年金で1人暮らし。節約してきたが、物価高が家計を圧迫する。5月からアルバイトを始めた。「こんな長生きするとは思わなくてね」と笑うが、不安は隠せない。「新しい知事に生活を良くしてほしい」と語る口調は切実だ。

 都は住民税非課税世帯などには、食品支給といった生活支援策を講じてきた。ただ、非課税となる目安は単身世帯で年収100万円以下。基準を上回れば、途端に「自助」中心の生活を求められる。

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