筑波大や福島大などの研究者でつくるチームは、東京電力福島第1原発事故に伴い、広範囲の農地除染が行われた飯舘村から南相馬市原町区を流れる新田川流域を対象に、除染が下流域に与えた影響を調べた研究成果を発表した。除染の進展により、川の泥や砂に付着した放射性セシウムの濃度が大幅に低下したことが分かったとしている。
研究チームは、除染が下流域に及ぼす長期的な影響を初めて総合的に評価しようと、2013~18年にかけて、水流や水の濁り、セシウム濃度などの変動を定点で継続記録した。
分析の結果、セシウム濃度の低下のほか、除染によって下流への浮遊土砂の流出量が以前の2倍程度に増えたが、植生の自然回復が進んだ影響などで、流出増は1~2年程度で収まっていたことも判明した。
研究成果は14日付の論文雑誌「ネイチャーサステナビリティ」に掲載された。