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【守り紡ぐ・県警発足70年】被災地ケア、全国からウルトラ警察隊

06/27 09:35

避難先から双葉町に帰還した女性宅を訪れ、会話する高井さん(右)と渕上さん(中央

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、本県には全国の警察から「特別出向警察官」(愛称・ウルトラ警察隊)が派遣されている。2012年から活動するウルトラ警察隊は現在まで延べ1873人に上り、避難指示区域でのパトロールなどに取り組む。その活動は被災地の治安維持で大きな力になっている。

 対話を欠かさず

 現場で活動するウルトラ警察隊員は、住民とのコミュニケーションを欠かさない。県警災害対策課特別警ら隊に所属する高井智浩巡査部長(37)=兵庫県警=と、渕上晟冴(せいが)巡査(24)=和歌山県警=は避難先から双葉町に帰還した80代女性の自宅を訪れ、近くに開店予定のスーパーなどの世間話をしながら、困り事や不安に思っていることはないかを聞き取っていた。

 聞き取り後、女性は「見守られていることで、安心して生活できる」と安堵(あんど)の表情を見せた。この安心感がコミュニケーションの目的の一つだ。高井巡査部長は「出向前に想像していたよりも避難指示が解除された場所は多い」と感じるが、住民帰還の動きはまだまだだ。

 住民が普段抱えやすい防犯面の不安解消に向け、双葉署浪江分庁舎を拠点にパトロールを続けている。「町ににぎわいが戻ってほしい。被災地に戻る帰還者のケアも続けていく」。高井巡査部長が胸に抱く思いは強い。各地の警察の力は本県復興を支えている。

 災害備え伝える

 ウルトラ警察隊の多くは本県を離れる際に「戻っても福島の今を伝え続ける」と思いを語る。渕上巡査も「被災地の今を見て学び、和歌山に戻って災害への備え方を伝えていきたい」と話す。出向した警察官を通じて本県の復興状況や原発事故の教訓などが全国に広がっている。(おわり)

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