インターネットには依存やトラブルに巻き込まれるなどのリスクが潜んでいる。学校や児童生徒、保護者は、適切な対策を講じて賢く使いこなすことが大切だ。
県は県教委、県警と連携し、県内の小中学生と高校生約6万2千人のネット利用状況を初めて調査した。自分専用のスマートフォンを持っている割合は小学生21%、中学生65%、高校生99%だった。家族との共用を含めると小中学生の利用率はさらに多くなる。
平日に1日5時間以上、勉強以外でネットを利用している児童生徒は小学1年生から各学年に一定割合おり、最も多い高校3年生は25%に上った。勉強を含めた利用内容では、小中高生いずれも動画視聴やゲームなどが上位だった。
ネットには最新の情報を入手したり、交流サイト(SNS)やゲームで仲間をつくったりできる利点がある。一方、のめり込むと生活習慣が不規則になり、不登校やひきこもりの要因にもなる。
ネットのない生活は退屈だと感じる、利用を邪魔されるとイライラするなど、心当たりがあれば依存度が高い状態かもしれない。児童生徒は、スポーツや読書などネット以外に夢中になれることを見つけ、利用時間を減らそう。
学校や保護者は、児童生徒と話し合い、利用目的に応じて時間を設定するなどルールを作ることが重要だ。依存が疑われる場合は専門医療機関を受診してほしい。
調査では、ネット利用の注意点などの理解度を測る問題が出され、小中高生全体の正答率は66%だった。看過できないのは正答率が著しく低い問題があることだ。
例えば、突然画面が固まり「この電話番号に連絡してください」とのメッセージが表示された際の対応で、高校生の正答率はわずか11%だった。ウイルス感染と思い込ませて駆除費をだまし取る詐欺などの恐れがあるため、大人や警察などに相談するのが正しい。
十分な知識がないまま利用すると、犯罪やトラブルに遭う恐れがある。各教委や学校は、正答率の低いケースを参考に対処方法の指導を強化することが急務だ。
過激な情報などを扱う一部サイトへのアクセスや閲覧を制限する「フィルタリング」の利用状況については、保護者に尋ねた。小中高生全体で57%だった。
保護者が使っていたスマホを児童生徒にそのまま貸与したり、制限強度の調整機能を知らず進学を機に解除したりすることが少なくない。保護者にはスマホなどの管理者として、フィルタリングを活用し、子どもを守る責務がある。