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町長に事実上辞職要求 国見百条委、救急車事業は「随意契約」

07/11 08:30

 国見町が民間企業と共同開発した高規格救急車を貸し出す事業を断念したことを巡り、町議会が設置した地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)は10日の臨時町議会で、調査結果を報告した。報告書では「入札に見せかけた随意契約であったと考えるのが相当で、公平公正な入札だったと評価判断することはできない」と指摘した。

 調査概要を報告した佐藤孝委員長が「本事業により、町の信用喪失は甚大。町長は出処進退について自ら決断する以外になく、速やかな政治的決断をするよう強く求める」と述べた。事実上、引地真町長に辞職を要求した形で、町議会は報告書を賛成多数で可決した。

 町は企業版ふるさと納税で寄せられた約4億3千万円を事業費に充て、公募で受託者に選ばれた備蓄食品開発のワンテーブル(宮城県多賀城市)と高規格救急車を共同開発するなどしていた。しかし前社長が「行政機能を分捕る」などと発言していたことが分かり、同社との「信頼関係が失われた」として契約を解除。導入した救急車12台は県内外の消防本部などに譲与された。

 報告書は、町職員が私的な交流サイト(SNS)を通して、公募に関する決裁前の文書などをワンテーブル側に見せていたことについて「行為そのものが、特定企業への便宜供与で利益誘導といえる」と批判。仕様書作成の過程で、町職員が他自治体の仕様書を参考に作成したと説明しているものの、関連資料やメール類がほとんど残っていないことから「廃棄したとする資料そのものが存在していたのか疑わざるを得ない。また、不都合なメールデータを意図的かつ組織的に廃棄したと疑わざるを得ない」と結論付けた。

 臨時会終了後、佐藤定男町議会議長が引地町長に報告書を提出。引地町長は町ホームページに「真摯(しんし)に受け止めながら、報告書の細部にわたる内容を詳細に確認し、今後同様の事態が発生しないよう対応していく」とのコメントを出した。

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