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「事故ではなく人災」 被害者、責任の所在追及待つ 郡山爆発事故あす4年

07/29 11:50

事故で顔を粉砕骨折するなどの重傷を負った女性。現在も痛みや不快感を抱えながら美容師の仕事を続けている

 福島県郡山市の飲食店「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」で起き、32人が死傷した爆発事故は30日で発生から4年となる。事故を巡っては、業務上過失致死傷容疑で書類送検され不起訴となった店の運営会社の社長ら4人について、福島検察審査会が1月に「不起訴不当」と議決し、福島地検による再捜査が続く。重傷を負い、審査を申し立てた美容師の女性(50)は「爆発は事故ではなく人災だ」との思いを強くしており、責任の所在が明らかになる日を待ち望んでいる。

 「あの日から4年が過ぎようとしているが、私はあの瞬間から何も変わっていない」。女性は事故当日、立ち寄った銀行のATMコーナーで爆風に吹き飛ばされた。顔の右側は引き裂かれ、骨が粉々に折れるなどの重傷を負った。

 手術直後に比べると顔の傷は少しずつ薄くなっているが、笑ったときに引きつる表情が気になり、人前ではマスクが欠かせない。顔に埋め込まれた8個の金属プレートの違和感や顔のしびれに悩まされ、「見た目では分からない苦しさが一生続くことになる」と嘆く。

 日常を取り戻しつつある中で、事故について考える時間が増えた。「命こそ助かったものの、きょうまで生きてこられる保証はなかった。むなしさを感じながらも一日一日を精いっぱい生きている」。現在も3カ月に1度の通院が必要で、そのたびに経営する美容室は休業せざるを得ない。「私は一瞬で一生が変わってしまったけれど、事故を起こした側はこれまでと同じように仕事をしている」。憤りは募る一方だ。

 事故後も全国各地で発生したガス爆発のニュースに触れるたび、自身が巻き込まれた爆発の威力や規模、被害の大きさを実感する。「同様の事故がいつどこで起こってもおかしくない。責任が伴わなければ対策も図られないのではないか」と疑問を呈した。

 検察が再捜査で起訴すれば裁判が開かれるが、再び不起訴と判断すれば刑事責任を問うことはできない。「再発防止のためにも責任の所在の追及が必要だ。このまま泣き寝入りするような理不尽な思いは絶対にしたくない」。女性は希望を信じ、検察の判断を見守る。

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