• X
  • facebook
  • line

【7月31日付編集日記】みどりの冬

07/31 08:40

 埋もれかけた「絶滅寸前」の季語に光を当てようと、夏井いつきさんがまとめた著書に「みどりの冬」という季語が載っていた。梅雨寒が長引く冷夏のことを指す。青葉が茂る頃なので、こう表現するそうだ。夏井さん自身ごそごそ探していて見つけたという

 ▼そもそも、この言葉が好んで使われなかったのか、冷夏の年が少なくなってきたのか。夏井さんはこの季語の項で、日本全土を覆った猛暑に触れている。ちなみに著書が出版されたのは21年前。冷害と背中合わせの言葉に涼感すら感じてしまうのは、近年の酷暑のせいだろうか

 ▼梅雨のさなかなのに最高気温が30度を超える日が続いている。県内で今年初めて、80代の高齢者が亡くなるなど、熱中症で救急搬送される人は後を絶たない

 ▼梅雨が明ければ暑さはさらに厳しくなる。体が暑さに慣れる暑熱順化も、涼しい日が続くとリセットされてしまうという。朝晩に涼しさを感じるときもあるなか、再び体を慣らすには、運動や入浴で意識的に汗をかくことが大切だ

 ▼7月もきょうで終わり。雨に悩まされない夏本番の到来と、海に山に涼を求めて繰り出す。梅雨明けをそんな気持ちで待ち望んでいたのは、いつ頃までだったろう。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line