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空調、相手のくせ読み切る...ワタガシ「頭脳戦」で4強 パリ五輪バド

08/02 10:00

 【パリ=報道部・佐藤智哉】勝利が決まると、ほっとしたように抱き合った。31日(日本時間8月1日午前)に行われた五輪バドミントン混合ダブルスで4強入りした渡辺勇大(27)、東野有紗(28)組=BIPROGY、富岡高卒。力が拮抗(きっこう)した準々決勝では2人が磨いてきた〝頭を使った戦い〟が垣間見えた一戦だった。

 第1ゲームは会場の空調の関係で相手が追い風となり「風に乗って相手の球が強くなり、こっちの球が飛んでくれなかった」と渡辺。2―11で折り返す完全な劣勢だった。

 ただ高い分析力と修正能力が今の2人にはあった。風を逆手に相手の球が乗りやすい低空戦には応じず、渡辺がネット際に落とす球を多用。相手に高く打ち返させることで前に詰めた東野が得点した。東野は「勇大君が『前勝負』と言ってくれて、自信を持って前でプレーできた」と感謝。大逆転で第1ゲームを先取し、勢い付いた第2ゲームは危なげなくものにした。

 風を読み相手の戦略を分析し、僅差の試合を制する。渡辺が「頭脳戦」と称する戦いを実践できるようになったのが成長の証しだ。

 東京五輪では1、2位を中国ペアが独占。渡辺、東野も準決勝で中国ペアに敗れており「羽根を打つ以外のところで点を取るために、頭を使ったラリーや、流れをつかむポイントなど、相手の様子をすごく見るようになった」と渡辺。3年間で磨いた試合を操る「頭脳」が強さの裏側にある。

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