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【8月4日付編集日記】内向き

08/04 08:15

 今、地元に住んでいる市民と企業を手厚く支援して、まずは足元から固めていきたい―。ある県内の市長から人口減少への対応として、こんな話が出た

 ▼県内の首長に地元の課題を尋ねると、必ずと言っていいほど「人口減少」を挙げる。これまでは首都圏などに暮らす人にまちの魅力を発信し、移住を促す手法が施策の大半だったが、最近はまず住んでいる人の居心地をより良くし、地元に愛着を持ってもらう「内向き」な施策に取り組む首長が多い

 ▼企業の育児休暇を巡る動きにも変化が出てきたようだ。国の調査で男性の育児休業取得率は昨年度初めて30%を超えたが、最近の企業は社員に育児休暇の取得を促すだけでない。休暇を取る社員の業務を補う同僚らにも、手当を支給するケースが増えているという

 ▼取得率を伸ばすことで「子育てに理解のある企業」をアピールできるが、まず負担が大きくなる同僚に配慮した取り組みを進める。在籍する社員の居心地を改善することから、子育てしやすい職場に変えていくのだろう

 ▼自治体の支援で地元の中小企業などに広がれば、少子化対策になるかもしれない。「内向き」な取り組みを土台に人口減少対策を考えてみるのも面白い。


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