大阪大の「大阪大学福島拠点」の開所式は6日、大熊町下野上地区の現地で行われ、関係者が施設の完成を祝った。拠点は軽量鉄骨2階建てで、延べ床面積は約3600平方メートル。教職員2人が常駐する。阪大は学生らを大熊町に派遣し地域の課題解決策を考えてもらう研修などを実施してきた経緯があり、常駐拠点の完成により研修の通年化などを検討する。
拠点となる建物はかつての建設会社の事務所で、町が寄贈を受け「大熊町連携大学等研究・支援センター」として改修を進めていた。町と阪大が連携協定を結んでいることから無償で貸与する。阪大は施設を活用し8、9月に他大学も含めた200人規模の学生を集めた研修を行うほか、地元の子どもたちを対象にした教育支援の取り組みに着手する。
開所式で、新保隆志副町長が阪大の中野貴志核物理研究センター長に施設の鍵を手渡した。
中野センター長は「課題解決に関わる人材育成を展開することで、復興に貢献していきたい」と決意を述べた。中野センター長は施設の内覧後に取材に応じ、大熊町の拠点で研究に取り組む大学内の部局を増やし、現地での活動をさらに充実させていく考えも示した。